古谷経衡

猫系作家の時事評論

リベラルは何故こんなにも絶望しているのか~「保守」にあって「リベラル」に無いもの

2021年09月22日(水)15時13分
河野太郎と枝野幸男

ILLUSTRATION: TSUNEHIRA FURUYA

野党支持率が伸びないのは、自民党内にメタ的野党構造があるから

右を見ても左を見ても、テレビ・新聞・ラジオ・雑誌の大メディア・ネット空間も自民党総裁選一色。菅政権はその末期になって支持率3割前後のままだが、自民党の対抗軸になるはずの立憲民主党の政党支持率はわずか3.0%。公明党にも後塵を拝することとなっている。

なぜ自民党政権が不人気なのにその受け皿が立憲民主党などの野党に及ばないのか。リベラル政党の支持者は、そのジレンマに日々懊悩しているのであろう。答えは簡単である。今次自民党総裁選を見てわかる通り、自民党の中に野党的対抗軸が存在しているからだ。つまり、メタ的に自民党の中に「党内野党」という極が無数に存在するからである。よって立憲民主党に支持が及ばないのは、自民党の構造上、必然の成り行きなのである。

かつて中選挙区時代、この構造はもっと鮮明であった。自民党内の派閥間の対立が、そのまま反自民票を吸収した。自民党A派閥への批判を自民党B派閥が受け皿になることによって、「自民党への批判を自民党が吸収する」という摩訶不思議な現象が起こり、少なくとも1993年の細川連立政権誕生まで自民党はその命脈を保ってきた。第二次安倍政権の7年8か月における長期政権で「安倍一強」が言われたが、ふたを開ければ安倍元総理の出身派閥である清和会は衆参自民党国会議員の1/4に満たず、それでいて他派閥が付き従っていたのは「選挙に勝てるから」、という理由でしかない。

よって菅総理では選挙に勝てぬと算段すると、途端に抑圧されていた多極が動き出す。今次総裁選では岸田派(宏池会)以外は自主投票とされるが、現実的には派閥の力学が作用し、もし決選投票となった場合は議員票の偏重から、より派閥間の駆け引きが熾烈となろう。つまりは小選挙区制となって以降も、自民党の派閥政治は何ら衰えておらず、自民党の中にメタ的反政権が存在する以上、野党がその受け皿になることは難しいのである。

朝日新聞「リベラル派が陥る独善」の衝撃

さて2021年9月9日の朝日新聞に、私としては極めて衝撃的な記事が掲載された。"(インタビュー)リベラル派が陥る独善 政治学者・岡田憲治さん"である。要点をまとめると次の通り。


1)リベラルは不寛容で教条的であるから、有権者広範の支持を受けない

2)よってリベラルは不寛容を捨てて、大同団結するべきである

3)リベラルの「正しい主張」が必ずしも人々に受け入れられるとは限らない

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プロフィール

プロフィール

古谷経衡

(ふるや・つねひら)作家、評論家、愛猫家、ラブホテル評論家。1982年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。2014年よりNPO法人江東映像文化振興事業団理事長。2017年から社)日本ペンクラブ正会員。著書に『日本を蝕む極論の正体』『意識高い系の研究』『左翼も右翼もウソばかり』『女政治家の通信簿』『若者は本当に右傾化しているのか』『日本型リア充の研究』など。長編小説に『愛国商売』、新著に『敗軍の名将』

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