Newsweek

木村正人

欧州インサイドReport

「ファーウェイの部分容認は5Gに新型コロナウイルスを入れるのと同じ」元ミス・ワールド代表が警鐘

2020年02月07日(金)15時20分
    「ファーウェイの部分容認は5Gに新型コロナウイルスを入れるのと同じ」元ミス・ワールド代表が警鐘

    ミス・ワールドの元カナダ代表、アナスタシア・リンさん(本人提供)

    [ロンドン発]「中国共産党は初期の段階で新型コロナウイルス肺炎の流行を封じ込めることができていたはずです」

    2015年、世界3大美人コンテストの一つ、ミス・ワールドのカナダ代表に選ばれたものの、中国で開かれた世界大会への参加を拒否された中国系カナダ人女優の人権活動家アナスタシア・リンさん(30)は目を大きく見開いた。

    「その代わり中国共産党は新型コロナウイルスのニュースを抑え込みました。人々に知らせず、自分で自分の身を守ることを許さなかったのです。中国共産党が新型コロナウイルスの流行を世界に伝えることを決定したのはタイで最初の感染者が見つかってからです」

    「中国共産党は多くの人を危険に陥れました。今回、新型コロナウイルスの感染拡大を防げなかった根底には組織的な情報管制があります」。アナスタシアさんからインタビューするのは、中国への入国が認められなかった"ミス・ワールド事件"以来、4年3カ月ぶりのことだ。

    ファーウェイはウイルスと同じ

    アナスタシアさんが英シンクタンク、ヘンリー・ジャクソン・ソサエティーに招かれ英国議会内で講演したのは、ボリス・ジョンソン英首相が中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の次世代通信規格5G参入を全面排除せず、限定的に容認したことと関係している。

    これでファーウェイはアングロサクソン系のスパイ同盟「ファイブアイズ」の一角に入り込んだことになる。アナスタシアさんはこの問題を「新型コロナウイルス」に例えて警鐘を鳴らした。

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    筆者のインタビューに応じるアナスタシア・リンさん(筆者撮影)


    「新型コロナウイルスについては全ての国が航空便を休止したり国境を閉鎖したりする方法を知っています。中国の航空便が入ってくるのを認めれば新型コロナウイルスが国内に入ってきます」

    「しかし5Gネットワークは違います。ウイルスと違って主要な対抗措置はありません。それは高度な攻撃です。データベースや政府のインフラがハッキングされた時、何が起きるのか実際には分かりません。さらに欧米諸国では中国の意を受けたロビー活動が行われています」

    「新型コロナウイルスとファーウェイの5G参入問題への対策が同じレベルで行われているわけではありません。しかし同じレベルの警報が鳴らされるべきです。私は英国がファーウェイのリスクを限定できるとは思いません」

    「英国政府は5Gネットワークの中でのファーウェイの活動を限定し、封じ込められると考えていますが、それは英国政府に委ねられているわけではありません。 ファーウェイがいったん入り込むと、もう彼らはネットワークの中にいるのです」

    アナスタシアさんが中国に厳しい目を向けるのは自らの体験に根差している。

    プロフィール

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    木村正人

    在ロンドン国際ジャーナリスト
    元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
    masakimu50@gmail.com

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