Newsweek

Q.サカマキ

Instagramフォトグラファーズ

日本の路地を彷徨い、人生が変わった「不思議と迷わなかった」

2019年09月27日(金)11時55分

    その後、アンミッシュが待ち望んでいた2度目の日本訪問は、結局2016年になってしまった。だが、とても密度の濃いものになる。フクシマからヒロシマの間の9つの都市(群馬県の富岡、福島県では相馬、南相馬、そして横浜、東京、愛知県の常滑、大阪、広島県の尾道、広島)を訪れ、計400キロものストリートや路地を意図的に彷徨(さまよ)った。

    不思議なことに迷うことはなかったという。なぜなら、色鮮やかなサインや標識を道しるべとし、しばしばボディランゲージを使って、なんとか切り抜けていったからだ。全ては感覚に頼っていた、と彼女は話す。そして、この時にアンミッシュが感じた感覚こそ、彼女の作品の源になったのかもしれない。

    実際、自分の作品を語るときに彼女はこう表現する。

    「私の写真は『彷徨う』ということとすごくリンクしている。しばしば一人で一日中歩き回る。全身の感受性を研ぎ澄ませるために。何かが自分の周りに降りてきたときに、それを見逃さず、つかみ取るために。それが私の感覚であり私の写真への接し方だ」

    2016年以降、彼女は毎年日本を訪れるようになっているが、「今は自分が日本で何をやりたいのか分かるようになってきた」と言う。「それは、『無常』の内なる感情や『わびさび』を探ること。そうしたコンセプトは私の考え、日常、付き合いの中にも存在している。そして、それこそが写真の真髄と深く関わっているのだと思う」

    アンミッシュの作品が、グラッフィクデザイン的なテクニカルセンスだけでなく、しばしば幽玄的な『もののあわれ』を感じさせてくれるのはこのせいかもしれない。

    今回紹介したInstagramフォトグラファー:
    Nadia Anemiche @rabbittears

    20191001issue_cover200.jpg
    ※10月1日号(9月25日発売)は、「2020 サバイバル日本戦略」特集。トランプ、プーチン、習近平、文在寅、金正恩......。世界は悪意と謀略だらけ。「カモネギ」日本が、仁義なき国際社会を生き抜くために知っておくべき7つのトリセツを提案する国際情勢特集です。河東哲夫(外交アナリスト)、シーラ・スミス(米外交問題評議会・日本研究員)、阿南友亮(東北大学法学研究科教授)、宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)らが寄稿。


    プロフィール

    プロフィール

    Q.サカマキ

    写真家/ジャーナリスト。
    1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
    インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
    http://www.qsakamaki.com

    注目のキーワード

    注目のキーワード

    ニューストピックス

    本誌紹介

    人気ランキング

    • 1

      東京都、新型コロナウイルス新規感染14人に急増 緊急事態宣言解除の目安、3項目中2項目が基準下回る

    • 2

      過激演出で話題のドラマ、子役2人が問題行動で炎上 背景には韓国の国民性も?

    • 3

      「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に

    • 4

      新型コロナの死亡率はなぜか人種により異なっている

    • 5

      日本の「生ぬるい」新型コロナ対応がうまくいってい…

    • 6

      気味が悪いくらいそっくり......新型コロナを予言し…

    • 7

      コロナ独自路線のスウェーデン、死者3000人突破に当…

    • 8

      異常に低いロシアの新型コロナウイルス致死率 陽性…

    • 9

      新型コロナよりはるかに厄介なブラジル大統領

    • 10

      東京都、3段階で休業解除へ 感染増加すれば東京アラ…

    • 1

      過激演出で話題のドラマ、子役2人が問題行動で炎上 背景には韓国の国民性も?

    • 2

      日本の「生ぬるい」新型コロナ対応がうまくいっている不思議

    • 3

      「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に

    • 4

      東京都、新型コロナウイルス新規感染14人に急増 緊…

    • 5

      カナダで「童貞テロ」を初訴追──過激化した非モテ男…

    • 6

      気味が悪いくらいそっくり......新型コロナを予言し…

    • 7

      コロナ独自路線のスウェーデン、死者3000人突破に当…

    • 8

      韓国でまたも「慰安婦問題」 支援団体の不正会計疑…

    • 9

      反ワクチン派がフェイスブック上での議論で優勢とな…

    • 10

      ビリー・アイリッシュと村上隆のコラボがアメリカで…

    • 1

      「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に

    • 2

      気味が悪いくらいそっくり......新型コロナを予言したウイルス映画が語ること

    • 3

      金正恩「死んだふり」の裏で進んでいた秘密作戦

    • 4

      スズメバチが生きたままカマキリに食べられる動画が…

    • 5

      過激演出で話題のドラマ、子役2人が問題行動で炎上 …

    • 6

      優等生シンガポールの感染者数が「東南アジア最悪」…

    • 7

      コロナ禍で露呈した「意識低い系」日本人

    • 8

      日本の「生ぬるい」新型コロナ対応がうまくいってい…

    • 9

      コロナ独自路線のスウェーデン、死者3000人突破に当…

    • 10

      ロックダウンは必要なかった? 「外出禁止は感染抑…

    もっと見る

    Picture Power

    レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

    【写真特集】金融エリートたちの意外と普通な苦悩