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パスタな国の人々

宮本さやか|イタリア

感染状況激しいインドへ救援に行く、自分も仕事がないのに他人に食事をプレゼントする。そんなイタリア人の助け合い精神はどこから?

では人はなぜ、人助けをしたいのか。「ハーヴァード・ビジネス・レビュー」というサイトに、ちょっと参考になりそうな記事があった。

行動学の専門家は、「人助け」は確かに中毒性を持ちうると認めている。人を助けるとき、脳は3つの化学物質を分泌する。いわゆる「ハピネス・トライフェクタ」(3つの幸せホルモン)である。

・セロトニン(強い幸福感を生み出す)
・ドーパミン(やる気を高める)
・オキシトシン(他者とのつながりを感じさせる)

 これらが組み合わさった結果として生じる幸福感を、人は当然、繰り返したいと思う。

(引用:https://www.dhbr.net/articles/-/6614

たしかに、無償で人を助けたり、寄付をしたりすると、気分がグッと上がり、やる気が湧いてくる。逆に寄付してほしい団体がいくつもあると、どこに寄付していいのかわからなくなって結局何もしない、そんなことがあるととても憂鬱な気分になる。

でも自分の危険を顧みずに人に手を差し伸べる時、見返り(自分がハッピーになれるかどうか)をいちいち考えているんだろうか? 去年3月のコロナ第1波で、北イタリアで医療スタッフが足りなくなって300人募集をかけたところ、新米医師から80歳の元医師まで7900人もの応募があった(しかもボランティア)。応募したその人たちや、インドへ飛んで行ったピエモンテの医療スタッフたちは、強い幸福感を得たいなあ!やる気を高めたいなあ、じゃあ、より危険が強烈なところへ行こうかな、などと思って行動したわけではないはずだ。

結局はっきりした答えは出ない。イタリア人気質の一つ、というしかないのだろうか。もちろん、イタリア人の中にもそういうことに興味のない人、興味はあっても行動に移せない人だっているだろう。それは世界中、どこの国も同じだと思うのだが、でもやっぱり、イタリアにはそういう熱い人が少し多いような気がするのだ。

貧困が深刻だった第二次世界大戦中のナポリ発祥という「カフェ・ソスペーゾ」という習慣は、バールでコーヒーを1杯飲んで2杯分払って帰るというもの。ソスペーゾとはイタリア語で「保留」という意味で、コーヒーのお金が払えない誰かのために払っておく、というシステム。それを模して、ミラノでは2019年から「パネットーネ・ソスペーゾ」も登場。経済的困難な状況にある人たちに、せめてクリスマスのケーキを食べて幸せを感じて欲しいという企画だ。当然、コロナ禍の去年末にも、多くの人の手にパネットーネがわたった。

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イタリア人の暮らしの折々にエスプレッソ・コーヒーは欠かせないが、馴染みのバールへ通うこと自体が生活の大切な1シーンだ。(写真:i stock/marcoventuriniautieri)

日常の買い物シーンでは、食品の買い出しを多めにして、困っている人のために籠へ入れて置いておくという助け合い運動や、売れ残った野菜を無料で配布する市場の人々などの活動も、コロナ禍下で活性化した。

https://toyokeizai.net/articles/-/392383?page=3

Profile

著者プロフィール
宮本さやか

1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。

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