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パスタな国の人々

宮本さやか|イタリア

感染状況激しいインドへ救援に行く、自分も仕事がないのに他人に食事をプレゼントする。そんなイタリア人の助け合い精神はどこから?

この4月には、トリノ県内の28軒のレストランが集まり、経済的に困難な状況にある1000人の人に食事を提供するというイベントが開催された。「クオーキ・ディ・スペランツァ」(希望の料理人たち)という副題が付けられたそのイベントは、パンデミックの影響で食事がままならない人たちに、レストランのおいしい料理を楽しんでもらいたいという企画だった。10軒のミシュラン星付きレストランの他、伝統料理店、ヴィーガン専門店、ワインバー、そしてチャイニーズレストランも参加して、プリモピアット(パスタや米料理など)、メイン料理、デザートの3品と、食の企業から提供されたチョコレートやワインを詰めたボックスが、ボランティアのライダーたち250人によって人々に届けられた。

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「PRANZO A MILLE=1000人ランチ」のイベント告知。イベントはコロナ以前から行われているが、コロナ禍の今年はデリバリースタイルとなった。(写真提供:Banco Alimentare)

「このイベントで希望を得たのは食事を提供された人たちだけでなく、自らも困難な状況にある料理人たちが、人を助けることによって勇気付けられ、力が湧いた」。これは主催者からのイベント・レポートに書かれていた言葉だ。やはり前述のHBRの記事にあるように、困っている他者を助けることで、自分も勇気づけられる、元気になれるハピネス・トライフェクタなんだろうか。これはコロナ禍に限らず、ストレスの多い現代社会に立ち向かおうとする、イタリア人たちの無意識の戦いなのかもしれない。

そしてこの世界的パンデミックの中、ともすれば忘れられがちだった助け合いの心が世界中で蘇った。自分や自分の家族のためだけでなく、知らないどこかの高齢者に感染させないためステイホームをする、いろいろなことを我慢する、ワクチンを受ける。大きなニュースにならなくても、世界中の人がとった助け合いの美しい行動だったのだと思う。

 

Profile

著者プロフィール
宮本さやか

1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。

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