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シリコンバレーと起業家

内藤聡|アメリカ

コロナ禍で見えてきたシリコンバレーの変化

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──コロナウイルスの影響でシリコンバレー・ベイエリアの多くの活動が停滞して半年が経ちますが、この半年間を通して見えてきたベイエリアでの変化やトレンドなどありますでしょうか。(聞き手:中屋敷 量貴

内藤:ベイエリアの現地にいて感じる変化としては、まず第一にベイエリアから人がどんどん出て行っているという印象があります。FacebookやGoogleといった大企業をはじめ、Twitter、Square、Coinbase、その他中小のスタートアップも完全または部分的にリモートワークに移行しており、企業によっては永久的にフルリモートで働いて良いという風向きになっています。その中で物価が高いベイエリアに高い家賃を払ってまで住み続けるのは理にかなわないと感じる人も多く、そういった人たちが田舎や安い地域に引っ越しているのは大きなトレンドだと思います。アメリカだとコロラド州のデンバーのような自然に囲まれていて住みやすい場所や、テキサス州のような中西部に移動している人が多いですね。

また、こうした変化はベイエリアだけではなく、ニューヨークやその他の大都市でも起きていると聞きます。完全にリモートで働けるのであれば、特にニューヨークやベイエリアで仕事をする必要もないと考える人が増えてきた現れなのかもしれません。とりわけベイエリアに関しては、家賃が高いという側面に加えて、地域によっては治安も悪いので、これを機により住みやすい地域に引っ越すのは理にかなっているのかなと思います。

こうなると議論にあがるのが、日本でも同じことですが、リモートワークを通して企業の文化が作れるのか、企業やチームは成果を出せるのかという点だと思います。ただ、今回のコロナウイルス(COVID-19)が深刻化する前から、フルリモート体制を取っているGitLabInVisionといった会社も存在しており、彼らはオフィスを持たず、数百人規模の社員がリモートで働いています。また、彼らはユニコーン企業と呼ばれる企業価値が1000億円以上で評価されている会社であり、売上もしっかり作っていることを踏まえると、一概にリモートだからチームとして結果が出せないということはないのではないかと思います。むしろ、リモートワークのおかげで生産的に働けたり、柔軟なライフスタイルを実現できたりすることで、社員が長期間に渡って会社で働いてくれるようになるのであれば、会社にとってはとても良いことだと思います。弊社Anyplaceも、コロナ前からフルリモートで働いていますが、世界中から優秀な人材を採用でき、社員の仕事環境における満足度も高く、リモートワークの恩恵を受けています。

これまでリモートワークの経験がない、もしくは大きな規模の会社がいきなりリモートワークに移行するとなると、企業文化に対して不安を感じる人が多いかもしれませんが、リモートで企業文化が作れないことはないと思います。GitLabやInVisionでは、ある意味リモートワーク自体が強い文化になっている印象がありますし、もっと具体的に言うとプロセスではなく結果を重視する文化になり、組織によってはその文化の方がより良い結果を出せる場合もあると思います。あとは、リモートワークに移行する前は不安だったが、実際に移行してみると意外と機能すると感じている企業は多いように思います。

Profile

著者プロフィール
内藤聡

Anyplace共同創業者兼CEO。大学卒業後に渡米。サンフランシスコで、いくつかの事業に失敗後、ホテル賃貸サービスのAnyplaceをローンチ。ウーバーの初期投資家であるジェイソン・カラカニス氏から投資を受ける。ブログ『シリコンバレーからよろしく』。@sili_yoro

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