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トスカーナの糸杉と救急車

奥村千穂|イタリア

イタリアでパンが静かなブーム

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(石釜焼きのパン 著者撮影)

新しいパンのスタイル

皆さんにとって「美味しいパン」とは何ですか?

ふんわりと柔らかいパン、歯ごたえのあるパン・・・。私は口に入れると小麦粉の香りが広がり、十分発酵しているけれど、しっかりと噛み応えのあるパンが好きです。少量の水分でもグルテンを引き出してまとまっていく通常の小麦粉と違い、古代小麦の粉は水分を多く必要とします。そのままだと、上に伸びずにペチャンとダレてしまうので、型に入れて発酵させます。石窯焼きで焼き上げた田舎風のパンは古代小麦に一番適したパンの種類だと思います。グルテンの膜が余り出来ないので、気泡は小さく、余り膨らまないけれど、ぎゅっと身の詰まった感じのパンになります。天然酵母(マードレ)を使い、古代小麦の粉で焼いた田舎風のパンは冷凍しなくても、焼いてから1週間は美味しく食べられます。

今まで特にこだわりなく白い普通のパンを買っていた人にも、少しずつ半全粒粉、天然酵母、古代小麦というタイプのパンが受け入れられるようになって来たようで、街のパン屋にも大きく書かれた grano antico (古代小麦)、lievitazione naturale con lievito madre (天然酵母で自然発酵)という文字を見かけるようになりました。

古代小麦のパンが普通にパン屋や地元のスーパーのパン売り場で売られるようになったり、良質の小麦粉を求める消費者が直接農家から購入することによって、古代小麦を通じて有機農法、地産地消のサイクルが成り立っています。

実は、イタリア全体ではグルテンアレルギーや糖質ダイエットなどの影響により、パンの消費量は減っているのだそうです。それとは別に、特殊な小麦、上質の小麦粉を取り扱う製粉メーカーは売り上げを伸ばしています。少量でもより質の良いパンを求めるイタリア人のパンや小麦粉へのこだわりは今後益々高まっていきそうです。

 

Profile

著者プロフィール
奥村千穂

イタリア、フィレンツェ在住歴22年。滞在型アパートメントの紹介サイト「ラ・カーサ・ミーア」を運営。イタリア語現地医療通訳。2019年より地元救急センターの救急車ボランティアに参加。近著『美しいフィレンツェとトスカーナの小さな街へ』(旅のヒントブック)。

ブログ:フィレンツェ田舎生活便り

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