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パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです

RIKAママ|フランス

2022年1月からはブースター接種をしないとヘルスパスが無効になる

やはりワクチンだけでは不十分 マスク等の基本的な感染対策が必要   pixabay イメージ画像

前回の記事で、フランスはヘルスパスにより、かなり守られているという話を書きました。あの時点でも、周囲のヨーロッパ諸国よりは、若干、感染拡大のスピードが遅いものの、1日の新規感染者数は確実に増加し、14,000人を突破していました。それが、約2週間の間に感染拡大のスピードには、一層アクセルがかかり、ここのところ、一週間毎に10,000人は増えている感じで、先日の1日の新規感染者は34,000人を突破しています。恐ろしいことに2週間で2倍以上です。

フランスは10月に入ってから、これまで無料で行われていたPCR検査・抗原検査が有料化されたため、(これは、ヘルスパスをワクチンなしで検査の陰性証明書で乗り切っていた人々をワクチン接種に向かわせるためと思われます)検査数が一気に45%も減少し、それにより、10月初旬は新規感染者数が跳ね上がらなかった(陽性者がカウントされずに野放し状態になっていた可能性大)とも考えられていましたが、現在は、もう周囲のヨーロッパ諸国とも遜色ない新規感染者数を叩き出しており(ドイツ、イギリスに継ぎ第3位)、これはワクチン接種に向かわせるための検査の有料化が裏目に出てしまった可能性も考えられます。悲観的に考えれば、現在のフランスでの新規感染者数は、実際には、もっと多い可能性もあり得るのです。

感染急拡大にフランス政府が打ち出した新たな方策「自由と責任」

このフランスでの感染再拡大に、フランス政府はまず、65歳以上のブースター接種強化を開始し、「65歳以上は2回目のワクチン接種から6ヶ月以上経過している場合はヘルスパスを無効にする」と発表したのが11月の初旬のことで、同時に12月初旬からは50歳以上のブースター接種を開始することも伝えていました。

しかし、フランスの急激な感染拡大は、想像以上に早いもので、この感染拡大がワクチンの有効性の減少から来ているものとも考えられ、それから約10日後には、急遽、ブースター接種を18歳以上の全国民に対して行うこととし、2回目からのワクチン接種の間隔もこれまでの6ヶ月後から5ヶ月後に短縮、そして、さらには、「2022年1月15日からは、2回目のワクチン接種から7ヶ月が経過した場合は、ブースター接種を行わない場合はこれまでのヘルスパスが取り消される」ことを発表しました。

この発表時には、有料化されていた検査を無料にするのかと思いきや、これまで72時間以内の陰性証明書がヘルスパスとして認められていたものが、24時間以内の検査が求められることになりました。ですから、ワクチン接種なしにヘルスパスを利用するとなると、毎日、検査を行うことが必要になります。

フランス政府はこの方策を「自由と責任を調和させる方法」を選択したと述べていますが、果たしてフランス国民に、この「自由と責任」がどのように受け止められているのかは、疑問が残ります。とはいえ、この発表以来、再び、ワクチン接種の予約は1日12万件を超える勢いで、ワクチン接種予約サイト Doctolib などは、予約を入れるのに1時間〜2時間待ちという状態になっています。7月から開始されたフランスのヘルスパスは、発表当時はかなりの反発も生んだものの、今やすっかり浸透し、普通の日常生活を送るための必須アイテムになっているのです。これを取り上げられるとなれば、フランス人にとっては、日常を奪われるに等しい感覚でもあるのだと思います。

私が感じているフランスでの感染急拡大の理由

現在のフランス(ヨーロッパ)での感染急拡大には、理由は一つではなく、それぞれの国、地域によりワクチン接種率が低い場所があったり、感染対策が十分ではなかったり、また2回のワクチン接種の有効性が時間の経過とともに減少していることなど、理由は様々ではあると思いますが、特にフランスの場合は、「ワクチン接種をしているから大丈夫」「ヘルスパスがあるから大丈夫」という気の緩みが大きいのではないかと思っています。

私はこれまでパンデミック以来、ヘルスパスのおかげで、たまにパリ市内で友人と会ったり、外食をしたりすることはありましたが、長距離の旅行は一切、避けて過ごしてきました。しかも、年齢のせいもありますが、夜出かけるのは億劫で、昼間の短い時間帯のみのことで、夜の街を出歩くことはありませんでした。

しかし、先日、娘の卒業式がボルドーであり、「それだけは、どうしても行きたい!」と思い、一泊だけですが、TGV(新幹線)ボルドーへ行ってきたのです。パリのモンバルナス駅を出る時は、改札でヘルスパスのチェックがあり、チェック済みの人には、ブルーの紙のブレスレットがつけられるという感染対策がしっかりされていたのですが、ボルドーからパリへ帰る際にTGVに乗った時には、全くのノーチェック。ヘルスパスのチェック自体もゆるゆるになっているのです。

また、ボルドー市内の中心部の特に人出の多い地帯では、屋外でも「マスク義務化」「違反したら罰金135ユーロ」の看板が大きく出ているにもかかわらず、マスクなしの人も多く、また、それを取り締まる警察も全く目にすることはありませんでした。そして、一泊とはいえ、旅行中ゆえ、やむを得ず、夜に食事にでかけると、飲食店街ということもあり、マスクをしている人など誰もおらず、「えっ??もうコロナ終わったの?」と一瞬、勘違いするほどの無法地帯。一応、飲食店に入店する際には、ヘルスパスのチェックは行われているものの、飲食の際に取り外したマスクは食後もそのまま、ほろ酔い加減で皆、街中を楽しそうに、まるでコロナなどなかったかのように楽しそうに過ごしています。

それに比べると、格段に警察官が多いパリではありますが、(それだけ人も多く、治安も悪いということなのでしょうが・・)取り締まりがなければ、規則はないも同じなフランス人に、政府の言う「自由と責任」がどれほど通じているのかを甚だ疑問に思うのでした。

文化も習慣も違うと言えば、それまでですが、先週、カステックス首相がコロナウィルスに感染した際に盛んに流されたのが、彼が会合の際にマスクもせずにみんなと握手して笑顔で挨拶する映像でしたが、「これはマズいね・・」と言った私に娘が、「いや、みんなこうだよ・・普通だよ・・」と言い放ったのには、仰天しました。彼は立場的にも絶対に公の場でこのような振る舞いは御法度であったと思いますが、にもかかわらず、これがまかりとおっていたくらい、フランス国民の気が緩んでいる事例であったに違いありません。

「この規則は何のためにあるのか?」「なぜ?そうしなければならないのか?」、これまでさんざん痛い目にも遭い、12万人近い犠牲者を出しているのにもかかわらず、いい加減、いちいち政府に規則・罰金・監視をされずとも、少しは考えて行動しないのか? 「まったく、子供かよ??」、もういい加減にしてほしい・・と思わずにはいられません。

最近、日本の友人や親戚と連絡を取る機会があって、「日本はみ〜んなマスクしているよ・・」とか、「まだまだ、以前のようにみんなで会って食事をしたり、おしゃべりする雰囲気ではありませんが・・」などと書いてあるのを見ると、「こっちは、思いっきり、みんな以前のように人と会って、食事をしたり、おしゃべりしてるし・・」などと、私自身もその雰囲気の違いに呆然とさせられるのです。やっぱり、日本は感染が減少してきたのに、この感じが続いているんだ・・と。

ワクチン接種もヘルスパスもある程度有効ではあるものの、やはり、常日頃のマスクや手洗い、ソーシャルデイスタンスなども依然として重要であることを思わずにはいられないのです。

今日も隣人の家では、人を集めてのパーティーなのか、楽しそうな大音量の陽気な音楽とお料理の匂い、笑い声が聞こえています。フランス政府は、「ブースター接種を拡大し、しないとヘルスパスは無効になる」と発表する際に、周囲のヨーロッパ諸国が再び強行しているようなロックダウンや夜間外出禁止、店舗営業の時間短縮等の措置は行わないことも公約していますが、周囲の様子を見ている限り、これで本当に乗り切れるのだろうかと大変、不安に感じています。

南アフリカでの新しい変異種オミクロンの出現

つい先日、発表されたばかりの南アフリカで発見された新しい変異種については、まだ多くのことはわかっていませんが、「これまでにないほどの激しい変異」「これまでの中で最悪の変異株」との噂も飛び交う中、フランスは即急に南アフリカをはじめとする周囲7ヶ国からの到着便を一時停止する措置をとりましたが、すでに、ベルギー、イスラエルなどでも症例が発見されていることから、すでにヨーロッパにも広まり始めていることも予想されます。ただ、一つ一つの症例を精査していないだけで、現在の感染者の中に、すでにこのオミクロンに感染しているケースがないとは言えません。

WHOは懸念すべき事項であるとしながらも、はっきりとした声明を発表してはいませんが、問題は現在使用されているワクチンがこのオミクロンに対して、有効性を保ち続けられるかにあります。ファイザーやモデルナ社も即刻、これに対応することを発表はしていますが、現在、深刻な状態に陥っているオランダなどが、かなりワクチン摂取率が高いにもかかわらず、感染が拡大してしまったこと、イスラエルで発見されたオミクロンの感染者はワクチン接種済みの人であったことなどを考えると、不安は広がります。

このオミクロンの威力が想像以上のもので、ワクチン接種の効果を大幅に下げるものであれば、フランスが急激に進めようとしているブースター接種でさえも、あまり効果がなくなることになります。

やはり、日本のように、規則、罰則がなくとも、基本的な感染対策を個々が自主的に行える国のみが本当の意味で、国民に対して「自由と責任」を委ねることができるのだと、新たな感染拡大の局面を迎えたフランスでしみじみと感じているのです。

 

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著者プロフィール
RIKAママ

フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。

ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」

Twitter:@OoieR



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