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イタリア事情斜め読み

ヴィズマーラ恵子|イタリア

9月末からイタリアは3回目の追加ワクチン開始

iStock- peterschreiber.media


世界中で50億を超える抗Covidワクチン接種が行われているが、その75%はわずか10の豊かな国に集中している。アフリカの平均ワクチン接種率は2%にも達していない。
裕福なヨーロッパでは、平均70%の免疫化を超えており、現在、かなりの量のワクチンが用意されていて、線量が不足しているということは一切ない。

特に文化的にワクチン接種を受けたくない反ワクチン派が多い国もあるという。
たとえば、東ヨーロッパは一部の国で非常に低いワクチン接種率である。
ブルガリアは20%、ルーマニアは32%の接種率であり、No Vax(ワクチン反対派)の存在がより根付いている。
欧州での反ワクチン派の率は、EU平均の9%に対してブルガリアは23%である。

この時点で開発途上国を支援する事と、9月より脆弱な人達に3回目の投与をしようとしている事とは、矛盾してはないようにも思える。
反ワクチン派やどうしてもワクチンを接種できない健康上の理由がある人など、一定数の非ワクチン接種者はいる。
ワクチンの公正な配布のために2020年に誕生した世界プログラムであるCovaxを共同監督する疫学者のセス・バークレー氏は、「コロナウイルスを打ち負かすことができる唯一の戦略は"グローバル"」であると言っている。 

もはや、今、唯一の戦略は"コロナワクチン"はなく、世界全体で最終的にコロナウイルスを根絶しようという「精神」、

世界単位の合意に基づいた"グローバル精神"ではないだろうか。


| G20が貧しい国々のワクチンキャンペーンを支援

ローマで開催されたHealthG20では、G20諸国が世界で最も問題のある地域、国に対して予防接種キャンペーンを支援することで最終的に全会一致で協定に署名された。
アフリカは巨大なブラックホールであり、WHOリストにはアフリカの50か国、うち37か国が貧しい国々としてあげられている。
地球の人口の20%が住んでいる世界で最も貧しい50か国の状況は、最少接種投与用量が0.1のコンゴ共和国で最悪のパフォーマンスである。
アフリカ大陸中央部に位置するチャドは0.3、ブルキナファソと南スーダンは0.5%など。
アフリカ大陸でのコロナウイルスによる公式の死亡者数は、イタリアの死者数とほぼ同じで約13万人。
しかし、これは正確なものではなく、完全に信頼できる数字ではない。
多くの場合、それは健康システムのようなものでさえ皆無であるため、死者を登録するための普遍的なシステムを持っているのはわずか8カ国だけで、サハラ以南のアフリカにおいてのコロナウイルスは、最大14倍過小評価されているという。
世界で住民1人あたりの平均ベッド数が最も少ない国。
アフリカの42か国のうち、17か国のベッド数は1,000人あたり1つ未満だという。(うち12か国のデータもない。)


国連コンサルタントでコロンビア大学の教授であるジェフリー・サックスは、ウイルスを根絶するために必要な目標の世界人数は、40億人だと言っている。そして、8億人がワクチン接種をしなければコロナウイルスを阻止できないということを設定している。
15歳以上の世界人口の80%をワクチン免疫するのに必要な用量は、約60億回分で、それだけの数を提供するには、まだワクチンの量は足りておらず、十分ではないという。


イタリアのワクチン接種状況 2021年9月15日更新データ

○完全ワクチンを接種している人:40,295,980人(総人口の66.9%)
○少なくとも1回の接種を受けた人:43,924,031人(総人口の72.9%)
○昨日の投与量232,383回 (合計81,409,122回)
○平均合計 過去7日間の1日あたり240,885回の投与(前の週268,076回)

| 貧しい国々より先に3回目のワクチンを始めるジレンマ


貧しい国々への援助のジレンマはあるものの、イタリアは、新型コロナワクチンの3回目投与を9月末より開始する。
イタリア医薬品庁の科学技術委員会からのGoサインが、9月9日木曜日に出された。
反コロナウイルスワクチンの3回目の投与に関して、どのカテゴリーから投与を開始するか、またその時期はいつになるかをイタリア医薬品庁(AIFA)技術委員会とイタリア政府から計画が発表されたのだ。

AIFAの科学技術委員会は、コロナウイルスワクチンの3回目の投与について好意的な意見を述べており、
政府が定めたタイミングによると、免疫抑制患者(がん患者、臓器移植手術を受けた患者、多発性硬化症の患者)の50万人が9月20日より開始されるという。

年末、おそらく12月には、80年歳代の420万人と高齢者介護施設(RSA)の35万人の入所者の番になり、2022年1月から2月の間に、コロナウイルスのに感染するリスクが最も高い医療従事者に「3回目ブースター」を接種することとした。


3回目ブースターのワクチンは、ファイザーかモデルナ社製で実施される。


イタリア医薬品庁(AIFA)が学んだことによると、ワクチンの3回目の投与は、免疫抑制および移植レシピエントの2回目の投与から「少なくとも28日後に」投与する必要があり、
高齢者介護施設(RSA)のゲスト、およびリスクのある医療従事者については、「少なくとも6か月後に」3回目投与を行う必要がある。

その他残りのカテゴリーの市民については、イタリア医薬品庁は最近二重評価を開始した欧州医薬品庁(EMA) の結論が出るまで保留する事にした。
まず最初に、ファイザーワクチンを3回目の追加免疫として進めることの妥当性についてを評価する必要がある。
16歳以上の全イタリア国民は、「2回目の投与から6か月後に投与」と製造メーカーが推奨している要求に対して、どのような評価が出されるのかを待っているという状態である。

また、これとは別に、モデルナまたはファイザーワクチンは、重度の免疫不全の人々に対して行われたmRNAワクチンの追加の3回目の投与の使用に関する科学文献からのデータも評価されており、欧州医薬品庁(EMA) は、その最終的な判決が出たところで、「EU加盟国は追加用量を投与するための準備計画をすでに検討できる」ことを明確にした。

| イスラエルから学ぶヨーロッパにおける3回目ワクチン接種状況

世界で最もワクチン接種を受けている国の1つであるイスラエルでは、6月に始まったデルタ変異株による感染の増加に対抗するために、ファイザーの3回目の投与を7月30日に開始した。

60代以上の被験者から始まり、徐々に若い年齢層へ3回目の接種をしているところである。
この3回目追加ブースターは機能しているようで、伝染曲線は減少しており、イスラエルの実効再生産数(Rt) は12月13日から着実に低下し始め、今日Rtは1を下回り、0.95になっている。

しかし、3回目の投与を続行するかどうかについて科学者の間で完全な合意点はまだない。

虚弱な人や免疫力が低下している人に関しては、医学的証拠により好意的な意見があるが、ワクチン接種サイクルの終了から何ヶ月か経った後でも、健康な人に追加ブースターの投与を進める必要が果たしてあるのかかどうかは、明確ではなかったという。

とはいえ、現実世界のデータから見ると、最初の注射から約6ヶ月後にワクチン反応の弱体化を示し始めたとしても、人々は、すでに接種済みのワクチンに3回目のブースターを追加した時、時間の経過とともに衰えている免疫記憶を目覚めさせるのには役に立つというものである。

| WHOは裕福な国だけが3回目のワクチンを接種開始する事にお怒り

世界保健機関WHOは3回目のワクチン接種の一般的線量を停止するという。
これは、世界のすべての国々にワクチンを行き渡るようにするためで、WHOは、各国が年末までに国民の少なくとも40%、世界の人口の70%が2022年半ばまでに予防接種を行うまでは、現在健康な人々に対してのブースターを12月まで接種をしないように求め、2022年半ばまでに達成すれば、3回目のワクチンを投与することを許可するとした。

広大な世界と極一部の恵まれた国の利益追求には矛盾するこの決定について、倫理的だけでなく実際的なジレンマも引き起こしかねない。

ドイツ、スペイン、ポルトガルは、「重度の免疫抑制の状況にある被験者」に3回目の投与を行おうとしているが、フランスはすでに投与を開始している。
WHOの9月末まで、3回目投与の延期要請を無視してまで、なぜ、すでに3回目ワクチン投与を始めているかというと、さまざまな研究が示しているように、結局のところ、抗体率の早期低下に苦しんでいるのは免疫抑制された癌患者であることが明らかであり、彼らに一刻も早く、より良く、より強硬にウイルスから保護する必要があるという理由で、前倒しで迅速に行っているのだ。

| ヨーロッパが安全な国のリストから日本を削除する?

9月の第2週、EU当局が疫学的に安全な第三国のリストをさらに絞り込み、さらに、6つの国を削除することを検討していると発表した。
EU理事会がリストを検討するために会合するときに公式にできる措置として、削除される関係国はおそらく日本、アルバニア、アルメニア、アゼルバイジャン、ブルネイ、セルビアがあげられた。

米国や他の国々に適用された最近の制限の場合のように、措置は法律ではなく勧告となるようである。
実際、一部のシェンゲン協定加盟国は、これらの国々からの到着に対して、より厳格な措置をすでに適用し始めている。

8月23日にノルウェーは、旅行者が入国できる第三国のリストからアルバニアを削除した。
9月3日にフィンランドは、ブルネイのワクチン接種を受けていない訪問者の入国に制限を再導入した。

そしてドイツは9月6日から、12歳以上のアルバニア、アゼルバイジャン、日本とセルビアからドイツへ入国する人は、ワクチン接種証明またはPCRテストなど陰性証明書を示すことが必要とされた。

一方、イタリアでは、2021年8月28日に条例を発行したものが、2021年10月25日まで法令が有効である。
保健省の安全な国のリストD に、日本は入っており、保健省はそれを確立し変更はないと言っている。
現在、カナダ、日本、米国からの渡航者がイタリアに入国するには、グリーン認定や同等のものか入国72時間前の分子検査または抗原検査で陰性証明が必要である。
入国後は隔離はない。

注意しなければならないのは、デジタル旅客位置情報フォーム(デジタル旅客ロケーターフォーム)へ記入することは義務である。

イタリア共和国保健省は、2021年4月16日付け同省命令第3条1項に従って、イタリアに入国する旅行者のためのデジタル旅客位置情報フォーム(Passenger Locator Form~dPLF)の取り扱い方法を記載した回状を5月15日付けで交付し、これによりすべてのイタリアへの入国者に対してdPLFの記入が義務化されることとなった。

「Passenger Locator Form」とは、旅行者の位置情報を把握するために必要となる書類で、
フォームに記入される搭乗者の連絡先やイタリア国内滞在時の住居または居所の住所を通して、機内での移動中、感染のリスクにさらされたと認められる場合、保健当局から当事者への迅速な連絡が可能となる。

イタリア保健省のポータルサイトNuovo Coronavirus - Sezione Viaggiatori (新型コロナウイルス - 旅行者専用ページ)」より出力可能な紙ベースのフォームに入力する必要がある。

 

Profile

著者プロフィール
ヴィズマーラ恵子

イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie

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