コラム

文政権の支持率低下と新型コロナウイルス対策の関係は?

2021年03月17日(水)16時09分
韓国 文在寅 新型コロナウイルス

医療従事者へのワクチン接種を視察する文在寅(右)と報道陣(ソウル、2月26日) Yonhap/REUTERS

<文在寅大統領が残り少ない任期期間にK防疫に専念せざるを得ない理由が統計で明らかになった>

*このコラムの内容は筆者個人の見解で、所属する組織とは関係ありません。

昨年12月のクリスマス前後に1日1000人を超えていた韓国における新型コロナウイルスの新規感染者数は、その後減少したものの最近でも1日平均400人前後の新規感染者が発生している。また、その影響もあってか、政権初期に84.1%まで上昇していた文在寅大統領の支持率はその後低下の傾向が鮮明になり、2021年3月2週目の支持率は37.7%まで下落した。

■韓国における1日の新規感染者数と累積感染者数
patients.jpg
出所)韓国疾病管理庁のホームページより筆者作成

■韓国における文在寅大統領の支持率
approvalrate.jpg
出所)リアルメータのホームページより筆者作成

政権や大統領の支持率は国内の経済状況や政治的スキャンダル等国内外の多様な要因の影響を受けることが多い。では、韓国における新型コロナウイルスの感染拡大は文在寅政権の支持率とどのような関係があっただろうか。

この関係を分析するために、韓国で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された2020年1月19日から今年の3月2週までの新規感染者数と韓国の世論調査専門企業「リアルメータ」が毎週月曜日に発表している大統領の支持率を用いた。

データに基づいて1週間(月曜日~日曜日)の新規感染者数とその次の週の月曜日の支持率の関係をみたところ、両者の間には負の相関があり(相関係数は-0.66)、統計的に有意であることが明らかになった。特に、1週間の新規感染者数が7,207人だった昨年の12月末の次の週である今年の1月1週目の文大統領の支持率は35.5%と、文政権が誕生してから最も低い数値を記録した。

■支持率調査前週の新規感染者数と文在寅大統領の支持率の関係

relativerate.jpg
出所)韓国疾病管理庁、リアルメータのホームページより筆者作成

もちろん、最近、文大統領の支持率が低下しているのは新型コロナウイルスの新規感染者数のみならず、不動産政策の失敗による首都圏を中心とした不動産価格の上昇、新型コロナウイルスの影響による経済のマイナス成長、北朝鮮との関係悪化、検察改革を巡る検察との対立等様々な要因が関係していると考えられる。しかしながら変異ウイルスが増加する等新型コロナウイルス感染症が、未だ収束していない現状を考えると、新型コロナウイルスに対する対策をおろそかにすることはできないだろう。

大統領の任期が1年と2カ月しか残っていない時点で支持率が30%後半であることは、歴代政権と比べると決して低い数値ではない。但し、今後新型コロナウイルスに対する対策の効果がどう表れるか、また、4月のソウル市長と釜山市長の補欠選挙の結果がどうなるかによって、来年5月の大統領選挙の結果は大きく変わると考えられる。文大統領がK防疫に専念せざるを得ない理由がここにある。

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所客員研究員、日本女子大学人間社会学部・大学院人間社会研究科非常勤講師を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。

ニュース速報

ワールド

中国の無人探査機、火星への着陸に成功=新華社

ビジネス

セブン&アイの米コンビニ買収「違法の恐れ」、規制当

ワールド

台湾、コロナ警戒水準を引き上げ 感染者180人に急

ビジネス

アングル:米零細マスクメーカー、「在庫の山」抱え存

MAGAZINE

特集:新章の日米同盟

2021年5月18日号(5/11発売)

台頭する中国の陰で「同盟国の長」となる日本に課せられた新たな重い責務

人気ランキング

  • 1

    脱・脱日本依存? 韓国自治体が日本の半導体材料メーカー誘致に舵を切っている

  • 2

    パイプライン攻撃のダークサイド、「次は標的を選ぶ」と謝罪

  • 3

    コカ・コーラ、マッキンゼー、ソニー...... ミャンマーの外資系企業、国軍が土地所有のビルから立ち退く

  • 4

    【動画】ゲームにあらず、降り注ぐロケット弾を正確…

  • 5

    日本経済、低迷の元凶は日本人の意地悪さか 大阪大…

  • 6

    捕獲のプロが巨大ニシキヘビに遭遇した意外な現場...…

  • 7

    半月形の頭部を持つヘビ? 切断しても再生し、両方…

  • 8

    「話すことが苦手だった」メンタリストDaiGoの人生を…

  • 9

    インドのコロナ地獄を招いた張本人モディの、償われ…

  • 10

    米物価上昇が意味すること

  • 1

    オーストラリアで囁かれ始めた対中好戦論

  • 2

    メーガン妃を誕生日写真から「外した」チャールズ皇太子に賛否...「彼女に失礼」「ごく普通」

  • 3

    パイプライン攻撃のダークサイド、「次は標的を選ぶ」と謝罪

  • 4

    日本経済、低迷の元凶は日本人の意地悪さか 大阪大…

  • 5

    ノーマスクの野外パーティー鎮圧 放水銃で吹き飛ば…

  • 6

    金正恩が指揮者を公開処刑、銃弾90発──韓国紙報道

  • 7

    脱・脱日本依存? 韓国自治体が日本の半導体材料メ…

  • 8

    【動画】ゲームにあらず、降り注ぐロケット弾を正確…

  • 9

    インドのコロナ地獄を招いた張本人モディの、償われ…

  • 10

    プロポーズを断っただけなのに...あまりに理不尽に殺…

  • 1

    メーガン・マークル、今度は「抱っこの仕方」に総ツッコミ 「赤ちゃん大丈夫?」「あり得ない」

  • 2

    「お金が貯まらない家庭の玄関先でよく見かける」1億円貯まる人は置かない『あるもの』とは

  • 3

    オーストラリアで囁かれ始めた対中好戦論

  • 4

    親日家女性の痛ましすぎる死──「日本は安全な国だと…

  • 5

    メーガン妃を誕生日写真から「外した」チャールズ皇…

  • 6

    ヘンリー王子、イギリス帰国で心境に変化...メーガン…

  • 7

    韓国、学生は原発処理水放出に断髪で抗議、専門機関…

  • 8

    パイプライン攻撃のダークサイド、「次は標的を選ぶ…

  • 9

    ビットコインバブルは2021年ほぼ間違いなく崩壊する

  • 10

    知らない女が毎日家にやってくる──「介護される側」…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中