コラム

韓国政治は若返りが主要な争点に

2021年07月02日(金)15時59分
李俊錫

最大野党「国民の力」の代表に選ばれた36歳の李俊錫が韓国政治を変える? Kim Min-Hee/REUTERS

<若者が若い指導者を望んでも、「大統領は40歳以上」という規定と中高年世代の抵抗に阻まれてきた。だが最大野党の代表に36歳の李俊錫が選ばれた今、風向きは変わった>

韓国の保守系最大野党「国民の力」の新しい代表に36歳の李俊錫(イ・ジュンソク)氏が選出されてから、来年3月に行われる大統領選挙に対する関心が高まっている。若者の多くは、李俊錫氏が大統領候補になった場合、彼を支持したいと考えているだろう。

しかしながら、残念なことに36歳の李俊錫氏は大統領候補になれない。1962年に制定された現行の憲法では大統領の出馬資格を満40歳以上と規定しているからだ。これに対して与野党の若い議員を中心に、満40歳以上に定められた大統領選挙の出馬年齢制限を廃止すべきだという主張が続いている。

さらに、与党「共に民主党」の李洛淵(イ・ナギョン)元代表は6月4日に自身のFacebookに「既成世代が青年を排除し、大統領選挙と政治を独占しようとすると、過去の独裁政権の横暴と何ら変わらない。このような考え方を維持しながら「青年のための政治を述べるのは偽善である。(中略)国家の未来ビジョンについて争う大統領選挙が既成世代の専有物にすることはできない。」と主張した。

最年少はフィンランドのマリン首相

では、海外はどうだろうか。フランスは、大統領の出馬資格に年齢制限を設定せず、18歳以上なら大統領選挙に出馬することができる。2017年には現在のエマニュエル・マクロン大統領が39歳という歴史上で最も若い年で大統領に当選された。

アルゼンチンは30歳以上、メキシコ、アメリカ、ブラジル等の国は35歳以上の人が大統領選挙に出馬できるように定めており、韓国より年齢基準が低い。一方、イタリアは50歳以上と韓国より年齢制限を高く設定している。

そして、大統領制より議員内閣制を採択している国の方で年齢基準が低い。フィンランドのサンナ・マリン首相は2019年12月に34歳という世界最年少で首相に選出された。そして、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相も2017年に37歳という若さで首相に就任した。

日本では戦前、伊藤博文氏が44歳(1885年)、黒田清隆氏が47歳(1888年)、近衞文麿氏が45歳(1937年)と40代に首相に就任したことはあるが、戦後は40代の首相は表れていない。

オーマイニュース(市民参加型インターネット新聞サイト)が6月1日に全国の18歳以上の500人を対象に実施したアンケート調査結果によると、「大統領選挙に出馬できる年齢基準を40歳未満に調整すべきだという議論」に対して50.3%が「共感する」と回答し、「共感しない」の44.8%を上回った。

年齢階層別に「共感する」と回答した割合は20代(18歳と19歳を含む)が62.8%、30代が57.2%で全体平均より高かった。一方、50代は「共感しない」が58.5%で、年齢基準を下げることに対して反対する人が多いことが分かった。

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所客員研究員、日本女子大学人間社会学部・大学院人間社会研究科非常勤講師を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

ニュース速報

ワールド

北海ブレント、3年ぶりに一時80ドル回復 利益確定

ビジネス

NY外為市場=ドル指数10カ月ぶり高値、米国債利回

ワールド

米議会、インフラ法案と歳出法案を可決すべき=バイデ

ワールド

米国防トップが議会証言、アフガン政府軍の崩壊に「驚

MAGAZINE

特集:ビジネスに役立つ NAVY SEALS 12のリーダー術

2021年10月 5日号(9/28発売)

米海軍特殊部隊の指揮官が戦場で学んだ部下と自分を危機から救う方法

人気ランキング

  • 1

    「4000冊の蔵書が一瞬で吹っ飛んだ」 電子書籍の落とし穴 ── あなたは購入していない

  • 2

    中国製スマホ「早急に処分を」リトアニアが重大なリスクを警告

  • 3

    武漢研究所、遺伝子操作でヒトへの感染力を強める実験を計画していた

  • 4

    100年に1度の極端水位が今世紀末までに毎年発生する…

  • 5

    中国の不動産バブルは弾けるか? 恒大集団の破綻が…

  • 6

    アメリカから見ると自民党はめっちゃリベラルです

  • 7

    【ファクトチェック】肛門PCR検査は中国で義務付けら…

  • 8

    起業の成功に必要なもの...資金・コネ・知識・経験よ…

  • 9

    面白研究に下ネタ 科学の裾野を広げる「イグ・ノー…

  • 10

    男性の平均寿命トップから36位へ 沖縄があっという…

  • 1

    中国製スマホ「早急に処分を」リトアニアが重大なリスクを警告

  • 2

    男性の平均寿命トップから36位へ 沖縄があっという間に「短命県」になったシンプルな理由

  • 3

    イギリス人から見た日本のプリンセスの「追放劇」

  • 4

    「4000冊の蔵書が一瞬で吹っ飛んだ」 電子書籍の落と…

  • 5

    武漢研究所、遺伝子操作でヒトへの感染力を強める実…

  • 6

    起業の成功に必要なもの...資金・コネ・知識・経験よ…

  • 7

    韓国の技術革新力が世界5位に──K ポップの活躍も要因…

  • 8

    サイを逆さ吊りにする実験結果がイグノーベル賞を受賞

  • 9

    感染は日本とアメリカが中心、すでに35カ国で確認さ…

  • 10

    犬のように人懐こい猫25種 飼い主に忠実な「相棒」…

  • 1

    「レオ様」激似の顔を持つ男...その数奇な運命と、たどり着いた境地

  • 2

    失敗学の研究者が見た、日本人の「ゼロリスク」信奉

  • 3

    タリバンがブラックホークを操縦する異常事態、しかも誰かぶら下がっている!

  • 4

    エヴァンゲリオン、美しく静かなラスト...ファンもこ…

  • 5

    無人島にたどり着いた日本人たちがたらふく味わった「…

  • 6

    動画サイトの視聴で広がる集団疾患、世界の若年層で…

  • 7

    330匹の猫が不審死...原因はペットフードか 重症猫…

  • 8

    インド、新たな変異株「デルタプラス」確認 感染力さ…

  • 9

    仲間や家族と一緒よりも「ソロキャンプ」が最高に楽し…

  • 10

    日本の元セクシー女優、フィリピンに遊びに行ったら…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中