最新記事

日本

医療「非」崩壊──医療現場が示す新型コロナ4つの新事実

2021年2月25日(木)11時20分
澤田知洋(本誌記者)

感染者増加で医療体制は崩壊したのか、菅政権はウィズコロナできる医療体制を実現できているのか David Mareuil-Pool-REUTERS

<ノンフィクションライターの石戸諭氏の取材で見えたのは、新型コロナが「既知の感染症」として一般的な医療で対応可能なこと、しかし医療体制がそれに追いついていないことだった>

安倍晋三前首相が「ウィズコロナの時代」において重要なのは新型コロナウイルスの感染防止策と社会経済活動の両立だと言明したのは昨年の7月22日だった。後を継いだ菅義偉現首相も同じ立場だ。

この政府方針への賛否は措くとして、その目標達成のためにはなにが必要だろうか? 感染拡大の防止はもちろんだが、ある程度の感染者数を許容しつつ社会を止めないための医療体制の構築が不可欠であるはずだ。

あれから半年が過ぎた今、果たしてウィズコロナできる医療体制は実現しているか。

これをメディアの報道からうかがい知るのは難しい。スポットライトが当たりがちなのは「医療崩壊」が起きているとされる公立病院などの現場だ。またコロナ対応に成功しているとされる医療現場や、地域ごとの受け入れ可能な病床数も散発的に取り上げられてはいる。しかし医療界の全体像は見えづらい。

そこで本誌2021年3月2日号(2月24日発売)の特集「ルポ新型コロナ 医療非崩壊」では、ノンフィクションライターの石戸諭氏による長編ルポを掲載。公立の大病院から町のクリニック、救急医療や高齢者の訪問診療まで多岐に渡る現場の取材を通して、今後の医療体制のあるべき姿へのヒントを探った。
20210302issue_cover200.jpg
見えてきたのは、確かに従来の意味での医療体制が崩れていることと、そうしたなかでも昨年春以来の経験と知見を駆使して患者の命を守る人々の姿だ。

詳しくは本誌に譲るとして、ここでは石戸氏の取材で見えた「現場では知られていたが、さほど注目されてこなかったコロナをめぐる意外な事実」を4つ、紹介したい。

いずれも新型コロナ感染症が民間でも治療できる「既知の感染症」で、日本で感染が再拡大してもこれからの工夫次第で乗り越えられると示唆するものだ(もちろんこれは「コロナは風邪」なる陰謀論に与するものではない)。

【1】新型コロナウイルス感染症は専門医や特別な設備でなくとも診断、治療可能

重症者は大病院に入院することがベストだが、軽症であれば患者と医師の双方がマスクをして2メートル以上離れる、患者の導線に気を遣うなどの工夫があれば町のクリニックでも診療は可能で、実際にそれを実践している現場がある。

千葉県では、小児科や消化器内科を専門とする病院の医師が中等症まで入院患者を診察している。

今、あなたにオススメ

ニュース速報

ビジネス

米GM、ミシガン州のEV工場に65億ドル超投資へ=

ビジネス

米政権の経済課題は「現代のサプライサイド経済学」=

ワールド

米、中国航空4社の44便を運航停止 中国の措置に対

ビジネス

英蘭シェル、正式に社名変更 「ロイヤル・ダッチ」外

今、あなたにオススメ

MAGAZINE

特集:2024年の全米動乱

2022年1月25日号(1/18発売)

次期大統領選で再びトランプが敗北すれば、100万人規模の怒れるアメリカ人が武装蜂起するリスクが

人気ランキング

  • 1

    1000年に1度のトンガ大噴火、これでは終わらない可能性

  • 2

    『ドライブ・マイ・カー 』がアメリカの映画賞を総なめしているワケ

  • 3

    部屋を「片付けなさい」はNG 子供の自己肯定感を伸ばす、正しい「声かけ」の方法

  • 4

    知ってた? 太陽系は「巨大な泡」の真ん中に浮かん…

  • 5

    消えた陸地、火山灰に覆われた滑走路... 衛星写真で…

  • 6

    コロナ感染で男性器の「サイズが縮小」との報告が相…

  • 7

    今も自然界と人体に「発がん物質」を残す、モンサン…

  • 8

    日本の元セクシー女優、フィリピンに遊びに行ったら…

  • 9

    「非常に珍しい」双子のアフリカゾウが見つかる

  • 10

    オタク活動に注意? 芸能人を好きになり過ぎると「知…

  • 1

    外国人同士が「目配せ」する、日本人には言いづらい「本音」

  • 2

    コロナ感染で男性器の「サイズが縮小」との報告が相次ぐ、「一生このまま」と医師

  • 3

    ブタの心臓を受けた男に傷害の前科──「もっとふさわしい人にあげて欲しかった」と、被害者の遺族は言う

  • 4

    1000年に1度のトンガ大噴火、これでは終わらない可…

  • 5

    早老症のユーチューバーが15歳で死去

  • 6

    米人気モデル、「露出し過ぎ」な服装で空港に現れて…

  • 7

    『ドライブ・マイ・カー 』がアメリカの映画賞を総な…

  • 8

    通りすがりの女性に救われた子猫は「とんでもない場…

  • 9

    知ってた? 太陽系は「巨大な泡」の真ん中に浮かん…

  • 10

    英スーパー、ソーセージを成人用として販売 客は年…

  • 1

    飛行中のステルス爆撃機が「グーグルマップ」に映り込んでいた

  • 2

    外国人同士が「目配せ」する、日本人には言いづらい「本音」

  • 3

    コロナ感染で男性器の「サイズが縮小」との報告が相次ぐ、「一生このまま」と医師

  • 4

    空手がアラブで200万人に広まったのは、呑んだくれ日…

  • 5

    ブタの心臓を受けた男に傷害の前科──「もっとふさわ…

  • 6

    1000年に1度のトンガ大噴火、これでは終わらない可…

  • 7

    日本のコロナ療養が羨ましい!無料で大量の食料支援…

  • 8

    早老症のユーチューバーが15歳で死去

  • 9

    「賃貸か、持ち家か」議論の答えは出ている

  • 10

    米人気モデル、「露出し過ぎ」な服装で空港に現れて…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

STORIES ARCHIVE

  • 2022年1月
  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月