最新記事

欧州

欧州議会みごと!訪台によりウイグル問題を抱える中国を揺さぶる

2021年11月4日(木)22時09分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

訪台は、欧州議会内の「外国のEU民主主義手続き干渉対応のための特別委員会」の下で実施された。この委員会は、2020年12月2日に公表された「欧州民主主義行動計画」の理念と重なっており、行動計画は「自由で公正な選挙の促進」と「メディアの自由の強化」と「偽情報への対抗措置」から構成される。

偽情報に関しては台湾でも大陸(中国共産党)からのスパイが台湾に潜り込み、あるいはサイバー攻撃などによって、大陸寄りの国民党と独立傾向の強い民進党との間を引き裂き、台湾市民を大陸寄りに導こうとする動きに脅かされている。

EUと台湾の両者は、同じ脅威にさらされているという状況も共有しながら二国間投資協定を結ぶ方向で動いている。

一行は、3日に台湾行政院長(首相)の蘇貞昌氏と会い、4日には蔡英文総統と会談した。蔡英文は台湾社会の分断を狙った中国による世論工作を念頭に「偽情報に対抗する民主連盟を創設したい」と述べ、欧州と協力して対策強化に当たる考えを表明した。訪問団側も「欧州も全体主義国家の攻撃にさらされている」と強調、「偽ニュース対策で台湾の経験に学ぶ」と応じた。共同通信などが伝えた

欧州議会、みごと!――CCTVは沈黙

このような一連の動きを中国が黙って見ているはずがない。

たしかにローマにおけるG20期間に合わせて台湾外交部長の欧州訪問を受け入れたEUの国々に対して中国政府は「一つの中国」原則を破り、「中国の核心的利益を侵害し、中国-EU関係の健全な発展を破壊する」と非難していた。

しかしその中国が、いざ欧州議会代表団が訪中すると、黙ってしまったのである。

本来ならば、11月4日には蔡英文総統と会談しているのだから、中国共産党が管轄する中央テレビ局CCTVでは大きな特集番組を組んで抗議表明をするはずだ。ところがCCTV4(国際チャンネル)のお昼のニュースは、台湾に関して長い時間を割いているのに、欧州議会代表団の訪台に関して、ただの一言も触れなかったのである。

私は何十年にも及び、CCTV4のお昼のニュースを欠かさずに観察してきた。

本来ならば、このような事態になれば、CCTV4は大々的に抗議番組を特集するのが通例になっているのを知っている。

それをしなかったのは、なぜか――。

中国は中欧投資協定を何としても結びたいので、欧州議会を刺激したくないからだ。

ならば、ウイグル人権問題に関する報復制裁を欧州議会の要望通りに解除すればいいが、そんなことは出来るはずがない。ウイグルの人権弾圧を実行していることを認めた格好になってしまうからだ。

今、あなたにオススメ

ニュース速報

ビジネス

再送-ウクライナ戦争で難路、銀行は備えを=ECB

ワールド

情報BOX:新型コロナウイルス、世界の感染者5億2

ワールド

中国で操業停止の台湾企業、半数が業務再開=経済部長

ビジネス

自動車の税制改正、成長に向け「設計図描き直す時期」

今、あなたにオススメ

MAGAZINE

特集:歴史で読み解くロシア超入門

2022年5月24日号(5/17発売)

ウクライナ侵攻で見せた不可解なほどの権威主義 政治・軍事・文化を貫くロシアの本質を歴史から理解する

人気ランキング

  • 1

    「心の準備が...」BTSジョングク、襟足の長い「80年代風」の髪型にイメチェン

  • 2

    「責任者を出せ!」コールセンター・スタッフに詰め寄るクレーマーに上司が放った爽快なひと言とは

  • 3

    『シン・ウルトラマン』を見て的中した不安

  • 4

    【戦況マップ】ロシア軍は数日でこれだけ占領地域を…

  • 5

    ウクライナのどさくさに紛れて「侵攻」を狙う、もう…

  • 6

    【映像】擬態したピューマと目が合ったハイカー、一…

  • 7

    動物園のアジアゾウ、溺れかけたアンテロープを救出…

  • 8

    100年ぶりの新しい細胞分裂様式「非合成分裂」は教科…

  • 9

    ロシア軍の最新戦車が破壊されたことが初めて確認さ…

  • 10

    BTSメンバーの「資産額」ランキング...1位のメンバー…

  • 1

    「責任者を出せ!」コールセンター・スタッフに詰め寄るクレーマーに上司が放った爽快なひと言とは

  • 2

    ウクライナのどさくさに紛れて「侵攻」を狙う、もうひとつの旧ソ連の国

  • 3

    【戦況マップ】ロシア軍は数日でこれだけ占領地域を失った

  • 4

    子供を解放し、母親も解放する日本の街──アメリカか…

  • 5

    「ウクライナを守る盾」、ロシア艦を撃沈した「ネプ…

  • 6

    「心の準備が...」BTSジョングク、襟足の長い「80年…

  • 7

    ウクライナ軍が使い始めた米M777榴弾砲の威力

  • 8

    【閲覧注意】廃屋の壁一面にうごめく数千匹のサソリ 

  • 9

    「ロゴさえあれば何でも買う」? 高級新作スニーカー…

  • 10

    【動画】ロシア巡洋艦「モスクワ」の「最期」

  • 1

    「責任者を出せ!」コールセンター・スタッフに詰め寄るクレーマーに上司が放った爽快なひと言とは

  • 2

    ウクライナのどさくさに紛れて「侵攻」を狙う、もうひとつの旧ソ連の国

  • 3

    【戦況マップ】ロシア軍は数日でこれだけ占領地域を失った

  • 4

    「どこなら女性は安全なのか」 インドで強姦被害の13…

  • 5

    プーチン病気説の決定打?どう見ても怪しい動画

  • 6

    子供を解放し、母親も解放する日本の街──アメリカか…

  • 7

    「性格と高齢期の認知障害には関連がある」との研究…

  • 8

    【映像】ショーの最中、荒れ狂うイルカがトレーナー…

  • 9

    「ウクライナを守る盾」、ロシア艦を撃沈した「ネプ…

  • 10

    【動画】ロシア巡洋艦「モスクワ」の「最期」

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
ニューズウィーク日本版ウェブエディター募集
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

STORIES ARCHIVE

  • 2022年5月
  • 2022年4月
  • 2022年3月
  • 2022年2月
  • 2022年1月
  • 2021年12月