最新記事

中国

習近平、「台湾統一」は2035年まで待つ

2021年12月3日(金)14時20分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
習近平

2019年10月1日、建国70周年記念の軍事パレードにおける習近平国家主席 Jason Lee-REUTERS

中国の台湾武力攻撃が近づいていると思う人が多いが、習近平は実は2035年まで動かない。それまでに福州と台北を高速鉄道でつなぐ計画を進めている。中国では≪2035年に(高速鉄道で)台湾に行こう≫という歌が大流行だ。

2035年までに「福州―台北」高速鉄道を含めた公路を完成

2021年2月、中共中央と国務院は「国家総合立体交通網計画綱要」(以下「綱要」)を発布した。「綱要」では、2021年から2035年までの国家総合立体交通網の布陣が書いてある。それによれば、2035年までに「(福建省)福州市から台北市」をつなぐ高速鉄道を含めた公路が完成することになっている。

2020年12月30日、中国政府の通信社である新華社の電子版「新華網」は、福建省で建設中の鉄道・公道併用の平潭(へいたん)海峡公鉄大橋が正式に開通したと報道した。これは中国初の公共鉄道による海を渡る橋となる。この建設工事は2013年10月30日から始まっており、上層は時速100キロの高速道路6車線、下層は時速200キロの高速鉄道で福平鉄道(福州‐平潭県)の重要プロジェクトとなっている。

平潭は台湾と中国大陸との間では、台湾に最も近い海壇島を含む島嶼から成る県で、もともと橋梁を建築する計画があった。習近平はそれを含めて「綱要」を作成し、台湾統一の足掛かりとする戦略を動かしている。

大陸と台湾を結ぶ計画は、北ルート、中ルート、南ルートなどがあるが、今般の「福州-台北」ルートは北ルートに分類される。南ルートは、長年議論されてきた「金門-厦門(アモイ)跨線橋」を含む「厦門-金門」、「金門-澎湖-嘉義」のルートを指す。

これらのルート開通によって何をするかのヒントの一つとして、南ルートの場合を説明すると、金門と福建省には「新4通」(水、天然ガス、電気、橋)という課題がある。インフラ整備は生活と交易に直接関係しており、たとえば孤立した小さな離島などは「真水」を必要としているため、金門と福建はすでに「水」ではつながっている。天然ガスに関しては金門の酒造工場蒸留所の発電に重要な役割を果たすことなどから一定の交易関係があり、両地の住民が船に乗って相手側の商品を買いに行くなど庶民レベルの交流もある。

しかし電気や橋梁の建設となると、台湾政府が承諾しなければ成立するものではない。それでも「綱要」は「台湾通道(台湾海峡回廊)」を「やれる限りのギリギリのところまで」着々と進めていくつもりだ。

今年11月24日になると、大陸側の国務院台湾弁公室の朱鳳蓮報道官は、定例記者会見で記者の質問に答える形で「綱要」の進捗状況に関して発表した。

それによれば、「台湾通道」プロジェクトに関してさらなる進展があり、平潭海峡における公道鉄道両用大橋の平潭区間は、公道鉄道ともに既に完全に開通したとのこと。また、福建省の関係部門は(台湾の)金門・馬祖との橋梁の初歩的技術計画を完成させており、「綱要」の「福州-台北間の支線建設」は既に計画段階を終えたようだ。

今、あなたにオススメ

ニュース速報

ビジネス

IMF、英22年成長率予測を4.7%に下方修正 2

ビジネス

IMF、22年の中南米成長率見通しを2.4%に下方

ビジネス

米アメックス、第4四半期利益が予想上回る 利用額が

ビジネス

米ベライゾンの第4四半期、契約件数が予想上回る 5

今、あなたにオススメ

MAGAZINE

特集:あぶない超加工食品

2022年2月 1日号(1/25発売)

脳の快感回路にダイレクトに響く「不自然な食品」は食品業界の福音だが、消費者には病気の源?

人気ランキング

  • 1

    「2人にしか分からない言葉」で夜な夜な戯れ合う双子の赤ちゃん

  • 2

    なぜネコは1日じゅう寝ているのでしょう?

  • 3

    ジャスティン・ビーバーの高級車コレクション、1台200万ドルのスーパーカーとは?

  • 4

    1円で売却された米空母キティホーク、解体に向け最…

  • 5

    飛行中のステルス爆撃機が「グーグルマップ」に映り…

  • 6

    コロナ感染で男性器の「サイズが縮小」との報告が相…

  • 7

    部屋を「片付けなさい」はNG 子供の自己肯定感を伸…

  • 8

    真偽を宙づりにするNHKの謝罪

  • 9

    勤続23年の国際線CA、まったくの別人だった 43年前…

  • 10

    知ってた? 太陽系は「巨大な泡」の真ん中に浮かん…

  • 1

    1000年に1度のトンガ大噴火、これでは終わらない可能性

  • 2

    部屋を「片付けなさい」はNG 子供の自己肯定感を伸ばす、正しい「声かけ」の方法

  • 3

    『ドライブ・マイ・カー 』がアメリカの映画賞を総なめしているワケ

  • 4

    「渡航禁止の解除を」WHO勧告を無視する日本とオミク…

  • 5

    キャサリン妃の服装は、メーガン妃の「丸パクリ」!? …

  • 6

    「2人にしか分からない言葉」で夜な夜な戯れ合う双子…

  • 7

    なぜネコは1日じゅう寝ているのでしょう?

  • 8

    ブタの心臓を受けた男に傷害の前科──「もっとふさわ…

  • 9

    知ってた? 太陽系は「巨大な泡」の真ん中に浮かん…

  • 10

    閲覧注意:インパラを丸呑みするニシキヘビの衝撃映像

  • 1

    飛行中のステルス爆撃機が「グーグルマップ」に映り込んでいた

  • 2

    外国人同士が「目配せ」する、日本人には言いづらい「本音」

  • 3

    コロナ感染で男性器の「サイズが縮小」との報告が相次ぐ、「一生このまま」と医師

  • 4

    空手がアラブで200万人に広まったのは、呑んだくれ日…

  • 5

    ブタの心臓を受けた男に傷害の前科──「もっとふさわ…

  • 6

    1000年に1度のトンガ大噴火、これでは終わらない可…

  • 7

    部屋を「片付けなさい」はNG 子供の自己肯定感を伸…

  • 8

    日本のコロナ療養が羨ましい!無料で大量の食料支援…

  • 9

    早老症のユーチューバーが15歳で死去

  • 10

    『ドライブ・マイ・カー 』がアメリカの映画賞を総な…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

STORIES ARCHIVE

  • 2022年1月
  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月