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日本人コーヒー生産者が語るコロンビア

松尾彩香|コロンビア

経済↑感染者数↓ 絶好調に見えるコロンビアに立ちはだかるワクチン接種の壁

©️iStock - Gerardo Huitrón

1日の新規感染者数が3万人を超えるような日すらあったコロンビアのコロナウイルス第3波。

そんな第3波の真っ只中に多くの都市では感染拡大防止よりも経済回復を優先することを決め、6月から外出規制等の感染予防措置を解除する決断を下しました。(マスクの着用など基本的な感染予防は継続)

これに対して感染の更なる拡大や医療崩壊を心配する声が上がると思いきや、実際にはそう言った不安よりも日常を取り戻すことのできるという安心感や喜びの方が多いのか、この決断に対する反対の動きは全くなかったと記憶しています。

先日発表された国家統計局(DANE)のデータよると、今年の4月から6月の3カ月間の経済は去年の同時期と比べると17,6%上昇しており、特に6月の伸びが著しかったとされていることから、経済回復を優先させた効果は確実にあったのではないかと推測されます。

一方コロナウイルスの新規感染者数は大幅に減少しており、6月24日には33,000件だった新規感染者も8月19日には3,200件程に減少しました。

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©️https://ourworldindata.org/covid-cases

 

急がれるワクチン接種

経済回復を優先させると同時にコロンビア政府が力を入れたのはワクチン接種。

ワクチン接種が始まった当初はワクチンが不足したり待ち時間が長すぎたりと、高齢者の接種時には少しバタバタしていたコロンビアですが、7月にアメリカから250万回分のヤンセンと350万回分のモデルナ製ワクチンの寄付を受け、接種スピードは一気に加速。コロンビア第二の都市メデジンではショッピングセンターやメトロの駅などに接種会場を設け、数日前から15歳以上を対象とした接種も始まりました。

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筆者1回目の接種の様子。ショッピングモールの駐車場で行われていました。

 

ワクチンを打ちたくない人との戦い

コロナウイルスとの共存の鍵はワクチンとも言われていますが、他国同様にコロンビアでもワクチン接種を拒否する人は少なくありません。

コロンビアでワクチンを受けたくない人にはどんな理由があるのか、その一部を紹介したいと思います。

・陰謀論/反ワクチン

パンデミックが始まったばかりの頃「コロナウイルスは政府が仕組んだ嘘で、ワクチンを使って年金受給者を死亡させようとしている」「PCR検査で鼻にいれる綿棒にはマイクロチップがついていて、検査をするとチップを埋め込まれる」と言ったような陰謀論を至るところで耳にしました。

政府に対する不信感が強い国ほど陰謀論を信じる人口は多いと聞いたことがありますが、4月から反政府デモが続くコロンビアではこれらの陰謀論は信じられやすいのかもしれません。

 

・宗教

以前のブログで宗教上の理由から安楽死に強く反対する人がいると紹介したことがありましたが、コロンビアは信仰心が強い人が多いことで知られています。

信者全員ではありませんが、「人が死を迎えるタイミングは神が決める」とワクチン接種を拒む団体は少なくありません。牧師が「ワクチンは悪魔のものだから打ってはいけない」と信者に接種を禁じるケースも多々報告されているようです。

コロンビアのニュースでは『牧師に言われワクチン接種を拒否した女性がコロナウイルスで死亡した』というニュースを大きく報じ、命を守るためにワクチン接種をするよう強く呼びかけています。

 

・先住民

コロンビアには200万人近い先住民が住んでおり、その人数は人口の3,4%程になると言われています。先住民の中には都市で他のコロンビア人と一緒に生活している先住民も少なくないのですが、先住民もワクチン接種に消極的な姿勢でいるようです。

彼らは先祖代々、病気には薬草や儀式を用いて治療を行っています。ワクチンのような人工的なものを体内に入れることに抵抗がある先住民グループに対してどう接種を促していくかがコロンビア政府の課題の1つと言えるでしょう。

 

・ワクチンを選びたい

「接種会場まで足は運ぶけど、自分が打ちたいワクチンじゃないなら帰る」という人もいます。

特に人気が高いのはファイザーとモデルナのワクチン。入り口で何のワクチンを打っているのか聞いて、お目当てのワクチンでなければ帰るんだそうです。私が接種した日はシノバックを打っている日でしたが、会場がガラガラだったのはそのせいだったのかもしれません。

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筆者撮影

  

ワクチンパスポート導入へ?

コロンビアのカリブ海地方に位置するスクレ県では、ワクチン未接種者を対象に8月2日から9日までの1週間、外出禁止令を発令し大きな波紋を呼びました。

この出来事を受けて偽物のワクチンカードが1枚3000円程で販売され、「自分の住んでいる地域にも同様な規制が敷かれるのではないか」とその偽物カードを購入する人もいたようです。コロンビアのワクチンカードは紙でできておりスタンプカードのような見た目をしています。中には手書きで接種日やワクチンの種類が書かれているだけのため偽造は簡単に行うことができ、今後このカードの提出を義務付けていくのであれば何らかの対策が必要となるでしょう。

 

一方、コロンビア第二の都市メデジンではワクチンパスポートの導入が前向きに検討されています。

現在行われているメデジン最大の祭り「花まつり」では、40歳以上を対象に会場に入場する際にはワクチンカードを提出することを義務付けました。

メデジンのダニエル・キンテロ市長はこのカード提出義務を「第一ステップに過ぎない」とコメントしており、この祭りが終わった後は30歳以上を対象にレストランやバー、スタジアムに入場する際のワクチンカード提出を義務付けるように動き始めると宣言しています。

 

話題が尽きないコロナウイルス。

しかしデルタ株が最近発見されたばかりのコロンビアでは、ウイルスの脅威はこれからと言っても過言ではないのかもしれません。

コロンビアはPCR検査の陰性証明がなくても入国できるため、街には海外からの観光客が戻りつつあります。経済回復の面ではプラスのことなのかもしれませんが、これが変異ウイルスの拡大に大きく影響してきそうな気がして不安な気持ちが拭えません。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。

ブログ: http://campesinita.com

Twitter: @maon_maon_maon

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