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日本人コーヒー生産者が語るコロンビア

松尾彩香|コロンビア

コーヒー好き必見?コロンビアコーヒーの1粒のチェリーから1杯のカップまで

©️iStock - ArtRachen01

国際コーヒー機関の統計によると、日本人が2020年に飲んだコーヒーの量は一人あたり1週間に11,5杯。

コーヒー文化も発展している日本には日々の生活にコーヒーが欠かせない人がたくさんいます。しかし、一杯のコーヒーができるまでの過程を知っている人は果たしてどれくらいいるでしょうか。

コーヒーはフルーツの種だということ。収穫は全て手摘みで行われていること。コーヒーは発酵させて作られていること。コーヒーを毎日飲んでいても、これらを知らない人は少なくないと思います。

今回はコロンビア中部地方に位置する私の農園のコーヒーが一杯のコーヒーになるまでの工程を写真を使ってお見せしていきたいと思います。

 

1、収穫

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筆者撮影

上の写真がコーヒーの木。

発芽から実をつけるまでに3年を要し、5年目あたりに収穫量のピークを迎えます。7年毎に根本から30cmを残して切り倒すカットバックと呼ばれる作業を行うと、残った幹からまた芽が生えてきて2年もすれば再び実をつけ始めます。コーヒーの木はとても生命力が強いのです。

 

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筆者撮影

コロンビアのコーヒー産地は山奥の急斜面に位置していることがほとんどのため、収穫用の機械を搬入したり動かしたりすることができず、収穫は全て手作業で行われます。

収穫期は雨季で足元はとても滑りやすくなっているので、作業中は滑り落ちない様に斜面で足を踏ん張らなければいけません。2m以上に成長したコーヒーの木から、赤く綺麗に熟したコーヒーチェリーだけを一つ一つ手で摘んでいく作業は単純作業に見えて体力と集中力を要する作業なのです。

 

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筆者撮影

上の写真の左側はコモディティコーヒーと言って、商品先物取引で売買されるコーヒーです。コンビニコーヒーなど、生産国以外の情報が明らかになっていないコーヒーはこの様にまだ熟していない緑色のチェリーや未熟のチェリーが混じっています。

一方、写真右側はスペシャルティコーヒーと言われる高品質コーヒーとして売ることができます。コモディティコーヒーより味のクオリティが高く、加工方法や産地情報を細かく開示することによって透明性が高まり、値段もコモディティコーヒーよりも高く売る事ができます。

 

2、比重選別

収穫したコーヒーチェリーを水につけ、浮いてきたチェリーを網ですくい取り除きます。

虫食いや中身がつまっていないチェリーは軽く、水につけると浮いてきます。これらはコーヒーの味に悪影響を与えるため丁寧に取り除かれ、国内消費用のコーヒーとして売られます。

IMG_7242 2.jpgのサムネイル画像

筆者撮影

 

3、果肉除去

飲み物のコーヒーになるのは、収穫したコーヒーチェリーの種の部分。コーヒーチェリーの中には半月型をしたコーヒー豆(種)が向かい合わせになって入っています。果肉はほとんどありません。

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筆者撮影

 

手作業では大変なので、果肉除去機と呼ばれる機械を使いチェリーを皮と種に分けます。

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筆者撮影

ここで分けられたチェリーの皮は肥料として再び土に還り、種は飲料のコーヒーになるために次の工程に進みます。

 

4、発酵

皮を取り除かれた種は密封できる容器に移され、その中で発酵させます。

発酵の時間の目安は約18時間ですが、スペシャルティコーヒーではフルーティな味を引き出すために発酵の時間を長くしたり、嫌気性発酵と言われる空気に触れさせない状態で発酵させたりと農園によって様々な工夫をしてそれぞれのコーヒーの良さを引出します。

IMG_7238.jpg筆者撮影

 

5、再び比重選別・洗浄

発酵を終えた種を水につけ、浮いてくる豆を取り除きます。ここで浮いてくる豆も海外には輸出されず国内消費用のコーヒーとして販売されます。

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筆者撮影

その後沈んだ豆だけをよく洗い、表面のぬめりを取り除きます。

 

6、乾燥

コーヒー豆の水分が10%〜12%になるまで乾かします。

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筆者撮影

 

7、脱穀

洗って乾かしたコーヒー豆にはベージュ色の薄皮がついているので、専用の機械を使ってこの薄皮を取り除きます。

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筆者撮影

  

薄皮を取り除いたコーヒー豆は緑がかった灰色をしており、海外に輸出されるときはこの状態で輸出されます。この状態のコーヒーなら見たことある方もいるかもしれませんね。

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筆者撮影

  

8、焙煎

生豆の状態ではまだコーヒーとして飲むことはできません。

焙煎機を使ってコーヒー豆に熱を加え、コーヒー独特の苦味と酸味を引き出していきます。

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筆者撮影

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このコーヒーなら皆さん見たことがあるのではないのでしょうか?(筆者撮影)

 

9、抽出

器具に合った粗さにコーヒー豆を挽き、抽出します。

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筆者撮影

 

近いようで遠いコーヒー

コーヒーはとても身近な飲み物ですが、実際に手元にあるコーヒーの背景について考えることはあまりないかもしれません。しかし、一杯のコーヒーの裏には様々なバックグラウンドを持った生産者が心を込めて一生懸命コーヒーを作っているのです。

ぜひ次にコーヒーを飲むときは、その産地や生産者に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?もしかしたらそのコーヒーがより一層美味しく感じられるかもしれません。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。

ブログ: http://campesinita.com

Twitter: @maon_maon_maon

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