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パスタな国の人々

宮本さやか|イタリア

国際女性デーとSessismo(性差別)的イタリア語の文法について考える

女性と子供の権利を守るイタリアの組織「WeWorld」の調査によれば、2020年、長引くロックダウンや学校閉鎖によって、自分の仕事に加えて家事、ステイホームの子供の世話(オンライン授業の宿題の補助や遊び相手など)、買い物補助などの老人の世話を全く一人でこなさなければいけなかった女性が、約60%にも上ったそうだ(男性は21%)。それは子供の世話だけに限れば実に85%にもなるという。

そして、そのせいで女性の2人に1人が仕事を含む将来のプロジェクトを諦める、または延期せざるを得なくなったという(男性は5人に2人)。

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子供の世話をしながら仕事をする若い母親。写真:i stock/FilippoBacci

幼稚園や保育施設の充実を図るための予算獲得が、コロナ復興策の中でも最重要項目の一つだと経済財政省事務官がコメントしている。

世界経済フォーラムが発表した2020年世界のジェンダー・ギャップランキングで、日本が世界153カ国中121位につけたことに驚いたのは記憶に新しい。イタリアはと見てみると76位。日本よりはずいぶん上位ではあるものの、ベスト5につけているノルウェー、フィンランド、スウエーデンや10位のドイツ、15位のフランスといったご近所さんたちに比べると、かなり寂しい結果だ。森・東京五輪組織委員会前会長のあの発言にはそれなりに反応していたし、夫婦別性が当たり前で、女性は自分のアイデンティティをしっかり持って生きているように見えるイタリア。だが現実は、「マンマ」という地位と引き換えに、古い常識に縛られる女性たちの姿が浮かび上がってくる。

イタリア語文法の性差別とは

国際女性デーにちなんで、イタリアのジェンダー・ギャップについて、イタリア語の文法という観点から考えてみた。なぜ女性の権利と文法? なのかといえば、イタリア語の文法には、実は性差別的要素があって、改善すべきだ!という声が少なからずあるからだ。当のイタリア女性たちはどう考えているのだろうか。

イタリア語にはフランス語、ドイツ語などと同様、名詞、形容詞、定冠詞に「男性形」と「女性形」というのがある。男性形女性形の簡単な例を挙げると

   La mia mamma fa la pizza molto buona.(私のママはとても美味しいピザを作ります)

pizza(ピザ)が女性名詞なので、その前につく定冠詞も女性形単数のLa 。そしてその女性形のピザを修飾する「buonoおいしい」という形容詞も、語尾がaで終わる女性形buonaに変化する。

ところが粉と水で作る同じようなものなのにパンになると

   Il mio papa fa il pane buono. (私のお父さんは、おいしいパンを作ります)

となる。パンは男性名詞だから、その前に着く定冠詞はさっきのLaではなくてIlになり、形容詞「おいしい」も語尾が男性形のBuonoとなる。そう、世界中の人々が知っているイタリア語「おいしい=ボーノ」というのは、男性形なのであります。

ピザが女でパンが男ってなんなの?と思うのだが、そういう決まりなんだから仕方ない。

Profile

著者プロフィール
宮本さやか

1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。

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