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パスタな国の人々

宮本さやか|イタリア

国際女性デーとSessismo(性差別)的イタリア語の文法について考える

ジェンダー格差の大きさバレバレなイタリア語

そんな男性形女性形の文法の中に、「一つの形容詞で男性形と女性形両方の名詞を修飾する場合は、自動的に男性形にするべし」という、女性からしたらかなり気にくわないsessismo(性差別)的な決まりがある。

例えばこうだ。「1コーラスの中に女性9人男性1人の場合でも、女性が99人男性1人の場合でも、賞賛の言葉はBravi=ブラボーの男性形複数になる」ということだ。

どんなに大勢の女性が頑張っていても、その中にたった一人の男がいるだけで、女性複数形のBraveではなくて男性形複数のBraviと言わなければいけない不平等さ。コンサートなどへ行くたびに、私はいつも引っかかって仕方ない。

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女の子4人に男の1人、この場合も男性形容詞で褒める。写真:i stock/Milatas

参考までに書くと、オペラ会場などで世界中で使われている「ブラボー」という賞賛のかけ声は、イタリア語の「素晴らしい」という意味の形容詞の男性単数形だ。イタリア語に近い発音をするなら「ブラボー」でなくて「ブラーヴォ」。歌ったのが女性ソロなら「ブラーヴァ」、女性が二人以上なら複数形の「ブラーヴェ」にしないといけない。世界レベルでは全てブラボーで通しましょうよ、ということになっていてそれでいいと思うのだが、問題なのはイタリア。さっきも書いたように、大勢の中に男性が一人いるだけで、絶対に男性形(複数)「ブラーヴィ」となってしまうということだ。

おかしいじゃないか。ほとんどは女性なのに。そういう声が近年では増えていて、意識が高い系の人たちは「Brave e bravi」とするとか(レディファーストだから女性形が先)、文章に書く場合は「Brav*」なんて書き方をして、性をはっきり示さない方法も考案されてきているそうだ。

女性であることを堂々と主張する

形容詞の性の一致よりももっとひどい!と意識的な女性たちが声をあげるのが、職業を表すイタリア語についてだ。イタリア語では例えばプロフェッサーはProfessore、女性形はProfessoressa、ドクターはDottoreで女性ならDottoressa。だがそういう女性形が特にない職業名がたくさんある。

「La Reppublica」「Il Fatto Quotidiano」などイタリアのメジャー紙でフリージャーナリストとして活躍する女性、Fabiola Palmeriさんによれば

「例えば市長、という意味のSindaco(シンダコ)。女性が市長になったらLa Sindacaと、前につける定冠詞も語尾も女性形にすべきなのに、そのまま男性形で使われることが多いのです。社長や議長などを意味するPresidenteも、本来ならPresidentessaと言うべきなのにしない。弁護士のAvocatoも大臣のMinistroも男性形のまま。イタリア人は「ひびきが悪い」と言うのですが、そうじゃない、ただ聴き慣れていないだけなんです。今までは男性ばかりが占めて来た職業だから。だからどんどん使うべき」と言う。

日本人の私から見ると、わざわざ女性であることを強調しなくてもいいのでは?と思わなくもないが、イタリア人女性は女性であることを堂々と主張し、その上で男性と対等に渡り合いたい、という考え方なのだろう。テレビのニュース番組では、胸元の谷間が際どく見えるセクシーなファッションで、政治を熱く語るキャスターたちがカッコいい。

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テレビでは華やかな女性キャスターがかっこいい。写真:著者撮影

Profile

著者プロフィール
宮本さやか

1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。

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